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足銀問題について

先週末、足利銀行が債務超過に陥り、政府の金融危機対応会議において預金保険法第102条第1項の3号措置(一時国有化)が適応されることになった。地域経済に大きな影響を持つ足利銀行の再生を期待していた一人として、極めて残念な結果であった。足利銀行が債務超過に陥らず、1号措置(りそな銀行に適応されたもの)による公的資金注入が行われることが望ましいと考えていたが、9月の中間決算で足銀が債務超過に陥り、銀行自ら破綻申請してきた以上、3号措置による対応を取らざるを得ないというのが実状である。

足利銀行の一時国有化について、竹中金融担当大臣は
  (1) 国がしっかり管理し営業を続ける
  (2) 銀行を再生して新しい経営に引き継ぐ
  (3) 預金は全額保護する
  (4) 地域への影響は最小限に止める
との基本方針を打ち出している。
県内の貸し出しシェア50%占める足利銀行の破綻という事態に対応するためには、政府として地域の金融及び経済の安定に万全を期すのに当然のことである。
上記(1)、(2)、(3)にあるとおり、預金は全額保護され、支店の営業や貸し出し等の取り引きも通常通り継続される。ただし、ここで重要なのは、年末、年度末に向けた季節資金及び例年実行している「旧足銀」融資の「国有化銀行」による確実な実行である。正常先はもちろん、要注意先と破綻懸念先へも漏れなく融資を実行し、資金を止めることなく地域中小企業の再建化計画が現行のスキームで実現することが最も望ましい。
同時に臨時融資相談窓口、特別相談窓口を早急に設置し、あらゆる緊急制度融資、緊急特別融資をフルに使っていくことが必要である。政府としても対応に万全を期すため、関係省庁等連絡会議を設置することとした。
ただし、緊急融資制度の創設は混乱回避策としては有効であるが、地域経済が抱える過剰債務問題の根本解決にはならない。ここで(4)の方針の通り地域経済への影響を最小限に止め、3号措置を真の地域経済再生策とするためには、地域版産業再生機構を創設し、投入される公的資金も活用して企業の過剰債務の軽減を図るスキーム作りが必要不可欠である。これがまさに3号措置を使った地域金融・経済の再生のモデルケースとなるものであり、「地域経済への影響は最小限に止める」の基本方針に合致する具体策である。
私も小泉内閣の閣僚の一人として、また栃木県選出の国会議員として、足銀問題の今後の対応に全力を尽くしていきたいと思います。
12月1日