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自民党とちぎ未来塾 講演概要

 
平成22年12月11日

私が塾長を務める「自民党とちぎ未来塾」、定期講座、オープン講座を重ね、今日12月11日に最終回の講座、修了式を迎えました。最終回(第10回)の講座として、私が行ったスピーチの概要は以下の通りです。



1.最近の政治状況
(1)政権交代への期待が失望に
■昨年9月に発足した鳩山政権、上手くいったのは昨年の事業仕分けまでの最初の3ヶ月。昨年の今頃は鳩山、小沢「政治とカネ」問題や普天間の迷走始まった。


■永田町では昨年今頃、「ツルは千年、亀は万年、ハトは1年」と言われたが、1年もたず9ヶ月で退陣。 ・その後の菅さん、今や内閣支持率が急落。ジェットコースター状態。野党時代の“イラ菅”から消費税で“ブレ菅”、今や何やりたいか判らない“空き菅”。


■夏の参院選では自民党が51議席を獲得し、改選第一党、参議院で与野党逆転を果たした。栃木県でも上野通子候補が民主党の現職に逆転勝利。


■勝利の要因、候補者や支援者の頑張り。同時に、外交、内政両面での民主党政権の迷走と失態、約束違反で政権交代への期待が失望に変わった結果。


■民主党にはガッカリ、自民党にはシッカリ!1人区では21勝8敗、しかし比例区は12議席(自民1400万票 vs. 民主1850万票)に留まり、複数区(大都市部)でも票数で民主党に大きく水をあけられた。党再生は未だ道半ば。

 

(2)外交・安全保障政策
①普天間移設問題の迷走:素人外交
■まさに素人外交そのもの。鳩山さんの「国外、最低でも県外」から迷走が続き、結局、普天間移設は暗礁に乗り上げた。沖縄との信頼関係も崩れ、日米同盟もギクシャクした責任は極めて重い。再選した仲井真知事も条件付き受け入れから県外移設に転換。現政権での信頼回復、問題解決は無理。


②尖閣諸島での中国船衝突事件

■最初「粛々と捜査を進める」と言ったのが、途中で中国人船長を中途半端に釈放。中国から足元を見られ、圧力に屈するという大失態だった。
■しかも、ロシアや北朝鮮、国際社会に「日本は領土問題で強く主張しない」「圧力をかければ譲歩する」という誤ったメッセージ発信 → メドベージェフ 大統領の北方四島視察。
■衝突シーンのテープ、ご覧頂いたと思う。最初の段階でテープを公開していれば中国の対応をあそこまでエスカレートさせず、もっと適切な解決が可能だった。


③北朝鮮による韓国ヨンピョン島砲撃事件:危機管理能力の欠落
■ここでも政府の初動に問題が多かった。菅総理は「砲撃をテレビで知った」などと発言し、関係閣僚会議まで6時間半もかかった。

 

■ここまで来ると単に素人外交に留まらず、現政権に「危機管理能力」そのものが欠けているということではないか。国民の間にも「この政権で本当に我が国を 守れるのか」という不安が高まっている。実際、最近のマスコミの世論調査でも、9割の国民が現政権の外交・安全保障政策に不安を感じると答えている。

 

(3)経済・財政運営
①円高対策と円高の影響
■民主党政権は、国内の景気対策についても危機感がゼロ。昨年9月以降、急激な円高が進み、輸出産業をはじめ我が国経済が大きな打撃を受けているのに有効な対策が全く打たれていない。金融緩和や為替介入も常にマーケットの想定内で“Too Little, Too Late”な対応に終始。
・円高の影響は深刻。特に3点指摘したい。
Ⅰ)輸出企業の収益減。トヨタは1円円高で、利益が300億減少。自動車、家電という裾野の広い主要産業がダメージ受ける。これが地方の関連企業にも 大きく影響。
Ⅱ)ただでさえデフレで企業の収益が圧迫されているのに、円高で安い海外製品が流入し、デフレがさらに進む。
Ⅲ)中長期的に企業が海外移転。例えば、日産の新型マーチは月5,000台販売しているが、生産拠点はタイに移り逆輸入。産業、雇用の空洞化が進んでいく。


②今後の景気対策・経済対策について
■ブレーキを踏んだままアクセルをふかしても車は前に進まない。これが今の景気対策の状態。
■日本企業が置かれている状況を見ると、まさに“3重苦”。急激な円高や世界的に見ても極めて高い法人税(40%)に加え、現政権が進める“アンチビジネス政策”(Co2の25%削減、派遣労働の規制強化、最低賃金の1,000円への引き上げなど)の逆風にさらされている。これでは多少の景気対策をやっても、ブレーキを  踏んだままアクセルをふかすようなもので、車(経済)は前に進みません。
■まずブレーキ外すこと。“アンチビジネス政策”の見直しと同時に、法人税もこれから3年間で毎年5%ずつ引き下げ、最終的には25%へ。これぐらいの具体策ないと企業が日本を見限ってしまう。

 

③マニフェストの全面撤回を
■今振り返れば、昨年夏の民主党のマニフェスト、本当にいい加減。今やマニフェストは嘘の代名詞。たとえばマニフェストの実施に必要な財源(初年度H22で7.1兆円、最終H25で16.8兆円)無駄の削減と予算の組み替えで出すと   言っていたのが、事業仕分けでも出てきたのは6900億円。1桁少ない。そこで今年の予算では44兆円の国債発行、過去最大の借金をすることになった。
■さらに財源不足で中途半端な実施となっている子ども手当も家計の直接支援の 目玉と言いながら2兆円以上かけて効果少ない。内閣府アンケート、48%が貯蓄。
■本格的な景気対策に舵を切るなら「バラマキマニフェスト4K(子ども手当、高速無料化、戸別所得補償、高校無償化)をまず撤回すること。その分の財源を成長戦略の主要分野に振り向け、将来に繋がる投資を促進することによってこそ景気の回復、雇用の拡大や日本の国際競争力の向上が図られる
■具体的にはどのような分野か。日本が強み発揮出来る分野3つ紹介したい。
Ⅰ)省エネ・省資源技術 -日本のエネルギー効率、欧米の1.9~2倍、中国の8.6倍、ロシアの17.4倍。
Ⅱ)成長するアジアへの“クール・ジャパン”展開(ファッション、アニメ、音楽、コンテンツ)
Ⅲ)社会インフラ・システム輸出(電力、鉄道、水ビジネス)
-電力(年間平均停電時間):日本(4分)、ドイツ(37分)、 アメリカ(100分)、中国(800分)
-鉄道(定時発着率):日本(99%)、英国(88%)、タイ(63%)、 マレーシア(43%)

 

(4)今後の政局について
①内閣支持率の急落:危険水域2割台
自民党広報本部長としてマスコミ各社の世論調査を細かくフォローしているが、菅内閣の支持率の下落は異常でジェットコースター状態。11月初めには、あら ゆるマスコミの調査で内閣支持率と不支持率が逆転し、発足当初60%以上だった内閣支持率は危険水域と言われる2割台。安倍内閣や福田内閣の退陣時の数字も下回り始めた。来年の前半にも政権運営そのものが立ち行かなくなる可能性も 高まっている。


②4月の統一地方選と衆議院解散・総選挙について
■自民党は夏の参議院選挙をホップ、来年4月の統一地方選をステップ、そして  来るべき総選挙をジャンプと位置付け、3段階の準備を進めてきた。ところが今や、いつ解散があってもおかしくない緊迫した状態に突入しつつある。
■もちろん、まずは統一地方選に勝利し、自民党の強みであり地方組織をしっかり維持。特に県議会では必ず過半数維持したい。
■民主党が壊れるのは一向に構わない。しかし民主党に日本の安全や経済、そして子供達の未来壊されては困るとの思いで、来年は1日も早く解散・総選挙に追い込み、政権奪還したい。

 

 

 

2.政治家が高めるべき3つのP

(1)Position・Policy:理念と政策
Position:まさに自分がよって立つ政治理念や信条。自分が政治家になって最もやりたいことや、政治家として絶対に譲れない一線。これなければ政治家やる 意味なし。自問自答してほしい。
■小泉元総理の「郵政民営化」がそのいい例。やり通す意思が大切。ブレないことが重要。
■Policy:T字型人間になること。選挙民の代表である以上、国会、県議会、市議会で扱う政策分野全てに一定の知識を持つ、これが上の-。その中で、特に専門分野を深めていく、これが横の|。とちぎ未来塾講師、石破(安全保障、3度の飯より好き)、下村(教育、塾の先生)、鴨下(社会保障、医者)。

 

(2)Performance:成果、実績
■日本語のパフォーマンスではなく、自分が有権者に誇れる実績。
■かつては道路を通した、橋を造った。今時は議員立法や条例作り、議会質問で執行部から明確な答弁を引き出す。さらに、特定分野でのボランティア活動、市民運動の母体作り。
■これから政治目指す人も、今までの人生で何が自分の一番のPerformanceか考えてほしい。
■こういった成果、実績を議会報告、ニュースレターなどで支援者に知らせることも大切。


(3)Personality:個性、人間性
■松下幸之助、松下政経塾の面接(2期生まで)で見た2つのポイント。運があるか、愛嬌があるか。
■感動を与える。選挙の手伝い、基本的に迷惑なこと。それでも支援者を駆り立てるのには感動や人間的魅力が求められる。

 

3.選挙に勝つ
(1)“これセン”(配布資料、これだけはやろう!「選挙ハンドブック」)
■来年の統一地方選や今後の国政選挙に向け、党本部で私を中心に作っているもの。まだ原案で正式には年明けから配り始める。「選挙に強い政治家のノウハウ満載!」


(2)1人ひとり、1つひとつを大切に
■P15、ヘッドアップしない、「ホタル会」のスピーチ。
■確かに当選には千票、1万票、10万票必要。しかし1票1票の積み重ね、1人ひとり、1つひとつの積み重ねでしか選挙には勝てない。

  • 人類を月に送ったアメリカのロケットの父、ゴダード博士の残している言葉。

不可能ではない。昨日までの夢は今日の希望、そして明日の現実なのだから。
It is difficult to say impossible. It has often proved true that the dream of yesterday is the hope of today and the reality of tomorrow.