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e-デモクラシー ~若手政治家の気概を問う~ 「茂木としみつの回答」

朝日新聞社主催でWeb 上の情報サイト「e-デモクラシー」が開催されております。これは政治家や有識者と読者がネット上で討論を行う企画で、3月より私も若手政治家の代表としてこのサイトに参加しています。

以下、行司役である評論家の田中直毅氏からの問題提議に関する私の回答並びに読者からの意見メールに対する私の返事を順次掲載いたします。
(5月2日、回答を追加しました)

「政治改革の具体策はあるのか」という田中直毅氏よりの問題提起への回答(2/28)
財政赤字の拡大や年金問題といった将来への不安を取り除くためには「当面痛みは伴うが5年後には明るい兆しが確かに見える」といった国民への改革シナリオの提示が必要。ただし、痛みを伴う改革を国民が受け入れる大前提は政治、特にリーダーへの信頼回復だと思う。 首相公選制等の議論も大切だが、まずは党首=総理となる自民党の総裁選出プロセスを変える。具体的には、(1)各地方に党所属国会議員と同数の代議員票を割り振り、(2)米国のプライマリーのように最低半年位の時間をかけて各地で候補者の討論会及び党員投票を展開し、(3)最終的に党大会で国会議員及び各候補者の獲得した代議員の投票によって総裁を選ぶといったオープンでより参加者の多い総裁選に改革すべき。タフな総裁選により候補者の世代交代も進むと思う。

「本当に日本の政治を立ち直らせたいなら、同志を募って脱藩すべき」とのメールに対する回答(3/5)

我々自民党議員に対し、離党・脱藩すべき、内閣不信任案に賛成すべき、とのいくつかのメールを頂きました。明治維新に模して脱藩ということですが、もし勝海舟が幕府側から途中で抜けていたら、江戸城の無血開城はなかったでしょう。また、西郷隆盛や高杉晋作が薩摩・長州の動きが遅いからと脱藩していたら、明治維新も達成出来なかったと思います。 むやみに離党することだけが勇気や決断だとは思いません。志しやビジョンを共有する若手が、今、それぞれがおかれた立場で最大限の改革努力をしながら、その連携を深めることが結果的には新しい時代を開く「革命」につながるのだと思います。

「いつも官僚任せで、ビジョンや決断力はあるのか」というメールに対する回答(3/5)

私は政務次官時代の政策決定や国会答弁も決して官僚任せではありませんでした。もちろん自分なりの国家ビジョンも持っています。限られたスペースですが以下具体的に申し上げます。 一言で言えば21世紀の日本を「多様性のある多民族社会」に変えるということです。有能な人材が世界から日本に集まり、ここで世界に向けてサクセスストーリーが生まれるという国家を目指すべきです。このための具体的な政策課題として(1)英語を第2公用語にする(2)定住外国人に地方参政権を与える (3)インターネットの接続料はじめ知的生産活動の基本コストを諸外国並みにする(4)日本の制度やシステムの中で国際基準と合致しないものを一括して見直す、の4点を提案したいと思います。

「自分は戦後復興とともに生きてきた。今こそイデオロギー論争をすべき」というメールに対する回答(3/5)

確かに60年代の日本、池田内閣の「所得倍増論」の頃は、政界ばかりか官界や経済界でも高度成長か安定成長かをめぐって真剣な論争が展開されていました。今こそイデオロギー論争をとのことですが、私は今の日本に必要なのは「構造改革」をめぐっての真剣な論争だと思います。 アメリカでは80年代に構造改革の論争の中から(1)「集中と選択」のもとでの事業の再構築(2)技術開発の振興と官から民への技術移転(3)新規事業とベンチャービジネスの育成、という処方箋を見出しました。 今の日本では生産性の向上、資金・労働力・技術のより効率の高い分野へのシフトという視点から3つの過剰:(1)設備の過剰(2)雇用の過剰(3)不良債の過剰、への処方箋を早急に導き出す徹底した論争が必要です。

「自民党が作ってきたたかりやえこひいきの構造を自民党の若手がどう変えていくのか」という辻元清美議員よりのメールへの回答(3/7)

辻元さんへ この「e-デモクラシー」は、国民から見たらもう見たくも聞きたくもないと思うような与野党の足の引っ張りあいではなく、若手の政治家がこの国のあり方や政策課題について率直な提案や議論をする場ではないでしょうか? だから私は「野党の無責任さ」等ということには全く触れず、まずリーダーシップのあり方として、自民党総裁選挙の改革案を提示しました。また、メールに対する回答でも自分なりの国家ビジョンや構造改革の視点を提示しています。 辻元さんも自民党の若手が何をしてくれるかではなく、自分ならこうするという構造改革についてのしっかりした提言をまずしてみたらいかがですか?例えば国民が期待する抜本的な行政改革や規制緩和にあなたはどう取り組みますか。人材の登用や流動化を阻んでいる人事院と官公労の癒着、IT社会実現のためのNTT改革を阻んでいる公社時代からの内部の論理―つまり旧態依然たる労働組合とその支持を受けて何もいえない野党の関係についてきちんとした回答をした上で、自民党の構造改革には言及すべきだと思います。 ちなみに、私は二世議員でもないし、私の政策や行動を理解し、熱心に応援してくれる108,837人の支援者を誇りに思っています。政務次官時代も自分の考え、言葉で国会答弁してきました。また、党改革についても政治改革本部の幹事メンバーとして全力で取り組んでいます。

「これまでの現職の強みに対し、有権者は政治家についての棚卸しを進めている。この『e-デモクラシ-』はその材料を与えている」という田中直毅氏よりの問題提起への回答(3/8)

「現職の強み」という問題指摘は政治的しがらみからの脱却の問題でもあります。今求められているのは政治家の自立(もちろん「無所属」がいいといった表面的な意味ではありません)であり、同時に経済界や企業、そして政治家を選ぶ個々人の自立です。 「個の自立」という意味では、日本は欧米社会と比べ圧倒的に遅れをとっていると感じます。だから議論が建設的な方向に向かうのではなく、知的緊張感のない誹謗中傷に終始してしまうことになりがちなのではないでしょうか。自立を促進するための議論の場で重要な視点は、「組織体質」等の好き嫌いではなく、「将来ビジョン」「政策内容」などの良し悪しではないでしょうか。実際、今回の「e‐デモクラシー」でも建設的な議論やキャッチボールは後者の部分で行われていると自分のメールのやり取りからも感じます。

「『個の自立』と『党議拘束』は矛盾しないか」というメールに対する回答(3/13)

「個の自立」と「党議拘束」が相容れないものだとは考えていません。前者は基本哲学、後者は運営ルールの問題です。例えば、多数決の原則を持つ民主主義のもとでは「個の自立」が果たせないかどうかを考えて頂ければおわかりになると思います。 ただし、日本のような議院内閣制、間接民主主義のシステムでは、議員の投票には当然一定の制約がかかるし、一つの投票行動だけを取れば民意が反映されないシステムとうつる場合もあると思います。ですから、多くのメールで「支持率が10%以下の総理を何故信任するのか」とのご指摘も頂くのだと思います。もちろん、間接民主主義で民意が国政に全く反映されないかと言えば、議員や政党の投票行動は全体として選挙の時点で国民よりその適否が判断されるシステムとなっています。ただし、これでは不十分というのであれば、憲法を改正して首相公選制を導入し、同時に国民投票を可能とするシステムに転換するしかないと考えます。 こういった基本的な問題の検討の一方で、党議拘束のかからない、閣法ではない議員立法の拡大や、法案をその性格によって区分する(例えば個人の倫理観、宗教観等に関わる問題は切り出す)等によって現行でも党議拘束を緩和することは可能ですし、またそうすべきと考えています。

「政策論争より組織体質の問題を優先すべき」とのメールに対する回答(3/13)

これまでの政策立案の過程において、政・官・業の癒着構造があったという事実は否定しません。ただし、現在の構造改革の遅れを政・官・業の癒着体質の問題だけに帰結させるのは短絡的だと思います。 以前のメールで、日本の構造改革の問題を考える視点として3つの過剰-(1)設備の過剰(2)雇用の過剰(3)不良債権の過剰 を指摘させて頂きました。例えば、直接償却の思い切った断行は、不良債権の過剰は縮小しても、企業の倒産等を通じて雇用の過剰を生み出します。同様に、企業の事業再構築による設備の合理化も雇用の過剰の拡大につながります。 このように構造改革を一挙に行えない原因の背景には、政・官・業の癒着というより、これら3つの過剰が相互連鎖しているという複雑な構造があるわけです。したがって、構造改善という「外科手術」を行う前提条件として、例えば労働市場の整備や雇用のミスマッチを解消するためのシステム、技術開発やベンチャーの育成によって新規事業を生み出す仕組み、といった「体力の回復」のための施策を同時に進めなければならないわけです。ここで求められる規制緩和等は、これまでのしがらみを乗り越えて断行しなければなりません。

「日本の処方箋がなぜ効率改善なのか」というメールに対する回答(3/13)

私が指摘したのは、マクロの日本経済において人材、資金、技術などがより効率的な分野に投入されることが必要だということです。一企業のコスト効率の改善というよりは、経済全体の生産性向上の問題です。 米国の3つの改革も、このための「集中と選択」、事業の再構築であり、技術の移転でありました。日本においてはこれに加え情報通信分野を含め、非効率な事業分野で思い切った規制緩和が必要だという意見には全く同感です。

「首相の進退の使い分けは国民にはわかりにくく、対外的にも理解を得られるものとは思いません」という田中直毅氏よりの問題提起に対する回答(3/14)

自民党総裁選の「前倒し」表明が国民にはわかりにくいというのは確かだと思います。また、対外的にも総理のリーダーシップが低下するのでは、という懸念も当然出てきます。 米国でも政権末期の大統領はレイムダックと言われます。しかし、そうであってもクリントン大統領が最後まで中東和平に尽力したように、最後の一瞬まで与えられた役割を果たしていくのがリーダーの務めだと思います。 今、森総理には当面の景気対策や国民生活の安定のために予算や予算関連法案を一日も早く成立させるという重大な責務が課せられています。それに全力を尽くすのが総理の役目であり、その上でどうするかは総理の決断の結果を見て国民の皆様にご判断いただくことではないでしょうか。また我々にとっては、その決断を政治の世代交代はじめ、しっかりとした変革につなげていく役目があると考えています。

『「生産性の向上」「技術開発」は20世紀中頃までの経済思想で、第1・2次産業重視の政策ではないかというメールに対する回答(3/22)

私はすでに1980年代頃から第1次、2次、3次という産業区分そのものが意味を持たない時代に入っていると考えます。例えば農業や製造業においても、すでにコスト競争力以上に商品開発力やマーケンティング戦略が勝負を決める時代です。さらに、ここに来てIT革命の進展があります。私が指摘したのは、例えばIT技術を情報通信関連の分野だけでなく、他産業が活用することによってビジネスシステムそのものを大きく変え、生産性を向上させるということです。米国ではこれにより“第3次産業”の金融と流通分野が再生しました。また、技術開発というのも狭い製造技術の問題ではなく、新しいビジネスモデルを作り上げるのに必要な新技術の開発という意味です。

「行政改革や特殊法人等の見直しを行った上で国民に痛みを伴う改革を行うという手順が順当なのでは」というメールに対する回答(3/22)

この意味でまず重要なのは国会の改革だと思います。一昨年成立した国会審議活性化法が本当に実を結ぶように官僚に依存しない政治家同士の政策論議をもっと活発にすること。同時に国会議員定数削減は必要不可欠です。 衆議院の定数は500議席から480議席に削減されましたが、私は近い将来(10年くらい)の目標を議員定数300(これで十分国会はまわります)に設定して、順次削減を実行していくべきだと考えています。 行政改革については今後10年間で25%の人員削減が決まっていますが、同時に人材の流動化や有能な若手人材の登用も必要であり、このために公務員制度を今、ゼロベースで見直しています。また特殊法人の改革についても、新たに導入した特殊法人の財務諸表の検討から38の特殊法人全てについて、無駄をなくす改革案を検討中です。 私も党行政改革本部の幹事を務めていますが、公務員制度と特殊法人の見直しについては近々改革案を取りまとめる予定です。その上で国民に痛みを伴う改革を提示する、という手順については全く同感です。

「自民党の総裁選にはルールはあるのか」というメールに対する回答(3/23)

党則並びに総裁公選規定の中で、ルールは明確に定められています。総裁が任期の途中で辞任した場合は、党則6条2項により、党大会に代わる両院議員総会で総裁を選出することが出来ることとなっています。その際の選挙人は、両院議員及び各都道府県の代議員1名です。なお現在党内では、新しい総裁選の在り方について、検討の最終段階に入っています。その主な内容については、すでに3月9日付けで党政治改革本部より総裁に答申を提出しています。 ポイントは(1)総裁任期を現行の2年から3年に延長する一方で、一定数の議員の要求により任期途中でも総裁選の実施を可能とする(2)総裁選立候補の推薦人の数を現行の30人から引き下げる(3)よりオープンで参加意識の高まる総裁選とするため、現行の郵便投票、党員一万人で一票を改め、小選挙区単位程度に総裁公選選挙区を設定し、そこでの直接投票を実施し、最も得票の多い候補者が一票を獲得する…などであります。

「外から注文がついて初めて動き出す、という政治の構図にはもう終止符が打たれるべき」という田中直毅氏よりの問題提起への回答(3/27)

今、問われるべきなのは、単に外から注文がついて初めて動き出すという政治のリーダーシップの欠如だけではなく、より本質的な点で日本の政策立案、実施において、「国際競争力」という視点が欠如しているという問題です。 経済活動がグローバル化し、さらにサービス貿易やサイバースペースでの新たな国際ルールづくりが進む中で、高度な戦略性のある政策を立案出来ない国は負担だけ求められて、国際社会での便益や信頼を勝ち取ることは出来ません。 この点、グローバル・スタンダード=アメリカン・スタンダードとしている米国は先行し、日本は大きく遅れを取っています。例えば、ITやバイオの分野で、日本には国家的なパテント戦略というものがありません。首相のリーダーシップはもちろんですが、専門分野からのポリティカルアポインティーを含めて内閣機能を強化すると同時に、新たな1府12省庁体制で大臣・副大臣が官の「政策立案資源」をいかに引き出し、国際競争力のある政策を内外に向けて打ち出すかが重要だと考えられます。

「総裁選の前倒しというのはどういう意味なのか」というメールに対する回答(3/28)

現行の党則には前倒しの規定はありませんので、総理・総裁が辞意表明することにより結果的に総裁選が前倒しされる場合は、党則6条2項の規定により両院議員総会で決めることができます。ただし、党則に前倒し規定もしくは任期途中での総裁選の実施規程を盛り込めば、党大会などで党員を含めた選挙を行うことも可能です。現在は後者も含めて、来るべき総裁選のあり方についての最終の詰めを行っている段階です。

「優秀な外国人を迎え入れるという韓国の姿勢は戦略的に優れている」とのメールに対する回答(4/5)

3月5日付けの私のメールでも21世紀の日本を「多様性のある多民族社会」に変えることが必要だとして、4つの具体的な政策課題の中に定住外国人に地方参政権を与えることも指摘しています。この意味でご意見には賛成です。ただし、韓国が日本より進んでいるか否かは、今後の動き次第だと思います。ハブ空港の建設では、日本は韓国に明らかに遅れを取っていますが、この地方参政権の問題でも遅れを取らないようにしなければなりません。

「国会の下に政策立案をサポートする専門家集団を」というメールに対する回答(4/5)

日本の国会では、議員立法はわずか1割程度で、残りは全て内閣提出の閣法です(最近5年間の成立法案では、議員立法が113本、13.5%、閣法が834本、86.5%)。政策立案は民意を受けた国会議員の責任で行うべきとの指摘には賛成です。ただし、国会の下に専門家からなる政策立案サポート部隊を作る前にやるべきことがあります。それは既存の国会の政策立案サポート機能の充実の問題です。例えば、衆議院の法制局の機能を高める。さらに国会図書館をアメリカのCRS(Congressional Research Service)のごとく充実させる。ちなみに国会図書館の予算並びに人員レベルは米国のCRSの5分の1以下です。

若手議員に「今の立場で何が出来るのか」という田中直毅氏よりの問題提起に対する回答(4/13)

私はこのe-デモクラシーで再三にわたって政治家の自立という問題提起をしてきました。ただ、これは現状の党がダメだからといって、すぐに独立・離党するという判断ではありません。むしろ、自分のしっかりとした政策方針を持った上で、それを実現出来る日本のリーダーをつくるという行動です。 私は今、自民党の総裁選で橋本龍太郎候補の選対の中核として活動しています。「何故また橋本さんなのか」「最大派閥の数の力」などというご批判は覚悟の上で、橋本総理実現を強力に推進している背景には、我々が橋本さんと共に作った21世紀日本の創造に向けての「200日プラン」という明確な政策があります。田中直毅氏の問題提起の中にも「改革着手までの時間的なゆとりは限られたもの」との指摘があります。我々が提案するのもスピードある具体策です。不良債権問題の最終的解決を始めとする経済の緊急的立て直しに必要な政策と新産業の創出や知的財産権についての国際戦略の確立といった国の競争力再生のために必要な政策を100日以内に決断し、その後の100日間で必要な法律の具体化や税制改正、規制緩和等を断行するというプランです。 私はこのプランに自信を持つと同時に21世紀のニューフロンティアを開拓するため、どうしてもこのプランを実現しなければいけないという、強い思いを持っています。批判をすることは容易ですが、批判を受けること覚悟で、あえて責任のある仕事を担う。これが今、私がやりたいことです。

「総裁選の結果を絵に描いた餅にするな」とのメールに対する回答(4/23)

今回の自民党総裁選は4人の候補者が立候補し、それぞれが共同の記者会見やテレビ出演を通じて活発な政策論争を行ったという意味で、国民や党員に向けて開かれた選挙が行われたと考えています。 明日が新総裁を決める両院議員総会となりますが、現在までの地方票を見る限り、小泉氏の勢いが圧倒的なのは事実です。私も橋本選対の事務局長として、この結果を謙虚に受け止めたいと思います。 メールの中にあった人事の件ですが、党3役は新総裁に一任、閣僚人事は新総理が自らのリーダーシップで決めるべきと考えています。適材適所が基本で、党の総力が集結できる形-その結果を期待したいと思います。

派閥の存在と政治家の自立に関連したメールに対する回答(5/2)

このe-デモクラシーでは、多分最後の回答になると思います。 私はこのコーナーで、一貫して「政治家の自立」の問題を取り上げてきました。これは政策立案という政治家本来の業務において、個々の政治家が様々なリソースやネットワークを駆使しつつも、基本的には他に「従属」していないという点が重要です。 あえて単純化すれば、自らの判断で政策立案出来ない政治家は自立していないとも言えます。この意味で政治家の自立は、党や派閥への「所属」とは直接関連しません。政策立案活動が党や派閥の制約によって阻害される時、初めて「所属」が政治家の自立を否定することになるわけです。こういった点を考える時、自民党や党内の各派閥(政策グループ)には、改善すべき点も多くありますが、その一方で現状では政党や政策グループ(党の部会や派内の政策研究会など)が各議員の政策立案活動のリソースやネットワークの大きな要素にもなっているのも事実です。 今回、小泉総理は派閥順送りを廃した斬新な人事を断行しました。「一本釣り」と言うより、総理本来の人事権を行使したに過ぎません。もちろん、高く評価される人事でしょうが、「派閥にとらわれない人事」の意味は正確に把えておく必要があると思います。 総理の閣僚の人事権が派閥により制約されるならば問題ですが、グループ内の各議員の人材スペックを蓄積している派閥の情報を活用したからといって、それが派閥にとらわれた人事というわけではありません。問題は、意思決定が自立しているかという点です。 万が一、私に入閣の要請がきたら派閥の許可が必要でしたか?とのお尋ねですが、今回我々のグループでは、人事の要請については個々の判断に委ねることにしておりましたので許可は必要ありませんでした。ただ、個人的な思いからすれば、政策立案という政治家の真の自立に向けて、しばらく充電の期間を持ちたいと思っています。もちろん、国会活動や様々な会議への出席はじめ、政治活動はより活発に進めていきたいと思います。 e-デモクラシーを通じての意見交換はこれで一応終了しますが、私のホームページはいつでもオープンです。